「東洋のモナコ」こと、熱海にやってきた。
子どもの頃に来たことがあるらしいのだが、ほとんど何も覚えていない。
ただ、唯一うっすらと記憶しているのは、秘宝館のことである。
熱海に家族でやってきた際、うちの両親が自分を連れて秘宝館に行こうとした。
普通に宝物がある場所だと思ったのだろう。
しかし子ども連れの両親を、当然受付のおばちゃんは止めた。
大人が大人に説明しているのを、遠くから眺めていた記憶がある。
お宝博物館だと思って楽しみにしていた自分は、「何で入れないの?」と訊きたかったのだが、引き返してきた親の漂わせるモゴモゴした雰囲気を察して、何も言うことはなかった。
そんな、「思い出」と言えるのかもよくわからない記憶のある地に、今回はやって来たのだった。
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到着後、ホテルに荷物を預け、駅横の商店街を抜けていく。
急な坂を下っていくと、海に出た。
右手の山の上にお城が見える。 今日の目的地。
久々に砂浜を歩いた。
しかしせっかくの海なのに、曇り気味の空。小雨も降ったり。
そんなイマイチな空模様も手伝って、どことなく街全体に漂う世界の終わり感が強調されていた。
山のふもとに到着。秘宝館推しのロープウェイに乗る。
今年はよくロープウェイに乗っているなと思った。
崖下に憧れのホテルニューアカオが見える。
もうちょっと財力があれば泊まりたかった。
しかし、こんな場所だったっけ。記憶にあるのと全然違っていた。
子どものころは入れなかった秘宝館に、立派な大人なので入場した。ようやくというか、何と言うか。
しかし残念ながら中は撮影禁止なので写真はない。
正直な感想としては、ちょっと期待が大きかったかもしれない、といったところ。
子どもの頃から想いを膨らませすぎたのだろう。
でも、現役の秘宝館はあと鬼怒川にしか残ってないし(鬼怒川は秘宝「殿」だけど)、こちらだっていつなくなるかわからない。「訪れた」ということ自体が大切である。たぶん。
そんなこんなで秘宝館から出て、本日第二の目的地である熱海城へ。
「何で熱海に城が」と思われるかもしれないが、
熱海城 - Wikipedia
要するに珍スポである。
ただ、ここには、あの浅野祥雲の作品があるらしいのだ。
すっかりアサショーの虜。
というわけで入ってみた。
他にも足湯があったり、マッサージ機があったり、すべて無料のゲーセンがあったり。
特にコンセプトなど考えずに、思いつきで適当に拡大している感じがすごい。
ところで、浅野祥雲作品はどこ? と思って展望エリアから下をのぞいたら・・・なんか、眼下の駐車場の隅っこに、それっぽいものが・・・。
ありました。
が、
ここまで隅っこに置くか、というくらい隅っこ。。。
この扱われかたに悲しさを感じつつも、ようやく発見できたことに喜ぶ。
カメラレンズを単焦点に交換(シグマの安いほうの50mmだけど)。
周りに誰もいないので、思う存分撮り放題。
五色園は親鸞、桃太郎神社は桃太郎だったが、ここにあるのはどうやら「十二神将」のようだ。
先月見た場所の作品より、上手だ。
あとの時代のものなのかしら。
上手な代わりに、「面白さ」においては、五色園や桃太郎神社には一歩劣るところがあるかもしれない。
サイズも小さいこともあり(成人男性の8割くらいの大きさ?)、正直、例の独特のインパクトは弱めかも。
・・・もしかすると、そのせいもあるのだろうか。
この扱いのぞんざいさは。
置かれている場所だけではなくて、ご覧の通り、保存状態も良いとは言いがたい。
頭の鉄骨が飛び出しちゃっている。
奇しくもこの日は桃太郎神社で修復が行われていたそうなのだけれど、
こちらもそうした作業がされないかな、と思った(人任せ的な発言で申し訳ないが)。
なんかちょっと、かわいそうである。
そんな9月旅行一日目、熱海でした。