馬鹿と煙と俺

Hamamatsucho

もう10年以上前だけれど、郊外型の大型電気店でアルバイトをしていたことがある。

基本的には、お客さんが購入した商品を倉庫から運んでくる仕事だったのだけれど、繁忙期には配送を手伝うこともあった。特に、テレビ(その頃は大型ブラウン管の最盛期だった)や冷蔵庫など、大型の商品を配送することが多く、お客さんの部屋に商品の設置までをおこなうこともしばしばあった。

今振り返ってみると、どう考えても体育会系には分類されない自分が良くやっていたものだと思うが、とにかくその仕事の時は、色々な他人の「部屋」に、ある意味で堂々と入ることができたわけである。

 

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しかしそうして複数の他人の「部屋」に入ることで、逆に「世の中には『部屋』が数え切れないほどあるのに、自分が入ることができるのはその極一部でしかない」という、当たり前と言えば当たり前のことを、それまでよりも意識するようになってしまった気がする。

 

Hamamatsucho 

だから、なのか、こうやって高いところから都会の景色を眺めると、「たくさん『部屋』がある」という見方をしてしまうところがある。そして、その99%以上には死ぬまで足を踏み入れることがないのだと考えてしまう。

 

それは残念なことのような気もするが、実はありがたいことであるのかもしれない

 ・・・と思ったり、思わなかったり、思ってみたりする。