台湾に着いた翌日。
MRT(地下鉄)の淡水信義線に乗り、北の終点の淡水駅へ。
そこからバスに乗る。
目的地までは1時間程度。
車窓から外の風景を眺めているのが楽しかったので、それほど長くは感じなかったけど。
街中を走っていたのが、だんだんと郊外の風景になり、
台湾の北側の、海沿いの景色となった。
「富基漁港」というバス停で下車。
そこから海と反対側に歩いて行くと、すぐに見えた。
石門金剛宮。
今回の旅行の目的地のひとつ。
一言で言えば「お寺」なのだが・・・。
中でもらった日本語パンフレットでは、こう説明されている。
石門の観光名所
山に寄せかけ 海に周れ
金剛宮が世間無数を教化
綺麗な北海 人間の浄土
新たな済世観を展開します
閑散としていることを想定していたが、割と人が来ていた。土曜日だったからかもしれない。
チケットブースのようなものがあるが、入場料はない。
ちなみに電光掲示板は台湾寺院の基本的な設備らしく、他でもよく見かけた。
入場口から建物へと向かう坂道。石像が並んでいる。
中国語と併せて、英文の解説もあったので読んでみたところ・・・、
「父のUNKOを味見」とある。病気の父親の UNKOを食べ、甘いか苦いかで病状を判断していた息子の逸話を再現しているらしい。他に手はなかったのか。
このような、少々エクストリームに寄った「中国・親孝行伝説シリーズ」を描写した石像が立ち並んでいたが、全部見ていくと時間がかかるので、飛ばしながら歩いていく。
すると坂を登りきった先に、ピンクのポロシャツを着たおばちゃんが、(上述の)パンフレットを持ち、俺を迎え入れてくれた。
上手くは無いが下手でも無い日本語で、フレンドリーに案内を開始してくれるおばちゃん。
まず、すぐそばにあった「四面佛」をプッシュされた。
パンフレットの表紙も飾っていたり、建物の外壁にも名前が書かれたいたりと、どうやらこの施設の売りのひとつであるようだ。
ちなみに「四面仏」はこのあと街中でもたまに見かけたので、台湾ではポピュラーなのかもしれない(?)。日本では見たこと無いが。。。
四方向それぞれに、平安、富、縁結び、長寿、的な意味があるとのことで、お線香を刺しながら、4回お祈りした。
その回りにも色々と面白いものが。
台湾にもあるのね、おみくじマシーン。
お金をくわえた蛙は、日本で言う招き猫、らしい。
などと、見て回りつつ、次はどっちへ行ったら良いのかときょろきょろしていると、
「ニカイ、人気アルノ、ニカイの真ン中ネ!」
と、おばちゃんに言われる。
階段を上って二階に行け、と。
おまえの求めるものはそこにある、と。
日本人は「アレ」を見に来ているのだろう、と言うわけだ。
ばれている。
インドの神様の横の階段を上り、
ニカイへ。広い。
しかし、「アレ」に直行してしまうのも、お目当てを見透かされているようで悔しい。(見透かされているんだけど)
他にあるものも凄かったり面白かったりするので、ちらちらと見つつ・・・
けど、やっぱり、「アレ」だよな・・・。
このように、細長い二階の壁沿いには、生まれた年の干支の神様を表す像がずらりと並んでいるのだが、
その「真ン中」に、「アレ」は、確かに、鎮座ましましていらした。
・・・・・・。
・・・。
甲子太歳金辨大将軍。
「・・・おまえもあの本を読んできた日本人か・・・(ゴゴゴゴ)」
(・・・はい、すみません。そんな日本人ばかり相手にしていて、ウンザリされているかとは思いますが・・・。)
そんな脳内会話を交わしつつ。
・・・しかし、実物を見ても、やっぱり全く納得できないお姿である。だがそれがいい。
特にこの像、「目から手が生えている」というより、「目に手が刺さっている」ようにも見えなくない。だがそれがいい。
残念ながら、自分の干支の神様では無かった。
ちなみに横では、お参り? 占い? よくわからないけど、何か儀式的なことをしていたが、甲子太歳金辨大将軍に夢中な俺の存在は見て見ぬフリをしてくれた。
ありがとうございました。
再び一階へ。
謎の像があったので(というか、館内にあるのは謎の像ばかりだが)写真を撮っていると、背後に座っていた、この場所の担当らしきおじさんに中国語で呼びかけられる。
日本語も英語もできないようだったが、クリアケースに挟まれた、何やら書かれた紙を示してきた。
日本人にはそれを見せて説明することにしているらしい。
そこには、(うろ覚えだが)
「祈り」「平和」「100元」
などと日本語で書いてあった。
・・・正直、意味がわからないが、「この先を見たければ100元」ということを言わんとしていることはわかる。
なので、100元を渡してみると。
あらびっくり。
なんと、儀式が始まってしまった。
まず、お経(?)など、何やら色々なものが載ったお盆を持たされたかと思うと、さっき写真を撮っていた像の前に立たされる俺。
そして、「名前」「住所」「生年月日」を言え、と(これまた紙で)示される。
と同時に、その模範を実際の行動で示し始めるおじさん。声がでかい。
自分も日本語で、大きめの声で言ってみる。おじさん納得顔。
そして「付いてこい」と身振り。
上の写真の神輿を担いだ像の向こうに、小さい廟のようなものがあるのだが、そこへ入っていく。お盆を持ったまま付いていく俺。
廟を抜けた先にはまた神輿を担いだ像。その低い神輿の下をくぐる。
するとその先に、橋というか、高く上がった、まっすぐな廊下のようなものがある。
そこへ上がり、さらに先へ進んでいくおじさんと俺。
その橋(廊下?)の上には、数歩進むごとに頭上に神棚のようなものがあり、おじさんが(おそらく俺の代わりに)、毎回大きな声で何かを唱える。
俺はお盆を持ち、よく分からないまま、その神棚のようなものにぺこり、ぺこり、と頭を下げていく。
かと思うと、今度は足下の左右交互に、不思議なマークのようなものが描かれている。「踏んで進め」ということを示すおじさん。「けんけんぱ」的な感じで踏んでいく。おじさん納得顔。
そんな感じでおじさんと一緒に進んでいくと、突き当たりに机に座った神様(?)が。どうやらここで終了らしい。
おじさんが、お盆の上にあったお守りだけを俺に手渡す。そしてお盆を持ち、どこかに行ってしまった。
何だったのだ。何だったのだ。混乱の極みである。
ちなみにパンフの地図をあとで見てみたところ、このコーナーは「七星橋—災害の排除」とあった。
まあ、とにかく勢いがある儀式だったので、御利益的なものがありそうな気はする。
これで「災害」が排除されると良いのだが。「業務量」という名の「災害」が。。。
で、その奥にまた建物があり・・・、
巨大仏。
その上の階には、
スーパー五百羅漢タイム。
像の中を、時々置いてある鐘を叩きながら進んでいく。
(長すぎるので後半へ続く)