明治の終わり頃に、その名も源宗坊という僧侶が開いたお寺。
午前中は雨が降っていたのだけれど、幸いなことに正午くらいに曇りになった。
ただ、山の中にある寺なので、雨のあとでも訪問は可能なのか、電話をして尋ねてみることに。
「今日は見学はできますでしょうか?」
「あらまあ、こんな雨の日に。どちらから?」
「神奈川県です」
「あらあら、じゃあ開けておきますよ」
そんな感じでとりあえず確認が取れたので、タクシーを拾って向かうことに。山の斜面に建つ住宅の隙間を縫うような細い道を登っていくと、入口に辿り着いた。
いきなり閻魔様がお出迎え。足下にあるぐにゃっと歪んだ顔がおもしろい。
ただでさえ歩きやすい感じではないのに、雨上がりでいっそう危なっかしい道を上っていくと・・・、
聖徳太子なのだそうだ。しかし良くこんなところに置けたなあ。コンクリートの塊だから、そうとう重たいだろうに。
乗っている神様の顔が面白いからそちらに気を取られがちだが、形的にはどちらも躍動感があって、よくできてる。
登ってきた道を引き返し(一度見事にすっ転んだ)、別のエリアへ。
美白でビジュアル系な毘沙門天。
地蔵菩薩。目が怖い。しかしどれも野外にあるけど、浅野祥雲の作品に比べて、状態が良いですね。
そんな仏像たちをさらに高いところから見ているのが、この寺最大の仏像。
大仏(不動明王)。頭がでかくてかわいい。
「大仏」にあたるのは、下の方にある手と足、そして石垣の部分らしい。つまり大仏は未完成。この不動明王はその大仏に包まれる「内体仏」なのだそうだ。
これでだいたい見たのかしら・・・、と歩いていると
「神奈川県から来た方〜?」
と声をかけられる。
お話ししてみると、源宗坊さんのお孫さんとのこと。
「龍神様はみた? 大仏は?」
「みました。他に何かありますか?」
「本堂にご本尊があるけど」
「見せていただけますか?」
なんでも、お孫さんはここに住んでおらず、月に一度くらい来るだけなのだそう。
普段は本堂の中には入れないようなので、今回はとても運が良かった。
というわけで、ご本尊を拝観。
真ん中がご本尊の不動明王。ポーズがかわいすぎる。
右が十一面観音・・・だったかな? 左は忘れてしまいました。
左が源宗坊さん。ここにある仏像を作ったお茶目住職。イケメンである。
「ちゃんとした仏師が作ったわけではないから上手ではないけど、ちゃんと魂は入れてあるんですよ」とお孫さんはおっしゃっていたが、むしろ普通の仏像よりも「魂」を感じる。
源宗坊寺を紹介しているブログはいくつかあるけど、この本堂内を載せているものは見たことがない。
明治39年にできたお寺らしいから、結構古いと思うんだけど、ピカピカ。
大事にしてるんだろう。
その後、なんとお茶とお菓子をいただき、さらには話の流れでお弁当まで頂戴してしまった。貴重なご本尊を見せていただけただけでもありがたいというのに、その前で食事ができたなんて、一生忘れられないだろうと思う。
突然やって来た人間に色々とご親切にしていただき、本当にありがとうございました。