岐阜県の、岐阜。
天上天下唯我独尊で高慢で偏見にまみれた当サイト管理人。岐阜などという場所には当然何もないと思っていた。「県庁所在地」とは名ばかりの、名古屋に全てを吸い尽くされた、ペンペン草1本も芽吹くことのないモノクロの荒野を想像していたのである。
宇宙が始まる以前の「無」がそこに広がっていても、決して驚かなかったであろう。
・・・ところが
栄えている。風景に色もついている。
色どころか、金色に輝く人物の像が建っているではないか。
なんと、信長公である。
すごい、岐阜。ビバ、岐阜。
思っていたとおりの立派な街だった。
手のひらを540度くらい返したせいで捻り切れそうな手首をさすりながら、今回の目的地へとバスで向かう。ちなみに、バス停時刻表も液晶画面が付いていたりして、妙にハイテクだった。岐阜恐るべしである。
「岐阜公園・歴史博物館前」で下車。
中に入ると、かご大仏さまがお出迎え。
写真だと分かりにくいかもしれないが、この大仏はすこし前屈みになっている。なので、上から見下ろされている感じで、迫力がある。でも圧迫感があるというのでもない。顔が穏やかだからか、見守られているような印象。
作りとしては、奈良の興福寺の阿修羅像のように、乾漆仏というものになるらしい。近くにいたおっさんが、「はりぼて、はりぼて」と罰当たりなことを言っていたが、確かにわかりやすくいえばそんな感じなのであろう。前屈みにできるのも、この作りのおかげらしい。
高さは13.63メートル。周囲1.8メートルの銀杏の木を真柱にして、骨格は木材で組んで、仏像の形は竹材を編んで作ってある(だから、「かご大仏」と呼ばれるらしい)。
その上に粘土を塗って、お経が書かれた紙を貼り、さらに漆や金箔を上から塗ったり貼ったりしてあるのだそうだ。ありがたや。
大仏の周囲を囲むのは羅漢像。
辿り着いたときには観光客がいたのだが、ここでも「周りから人がいなくなる」の特殊能力を発揮してしまったのか、気がついたら大仏様を独り占めしていた。
正面に設置されたベンチに座り、ずーっと眺めていた。贅沢。
ありがとうございました。